待たずにいること

なにか次にすべきことを考えていては、いまここにはいられず、心ここにあらずになる。

終わりの時間を意識して、まだかまだかと思っているのも同じことだろう。

心が今ここになく彼方にいくならば、眼はその彼方を探し、眼前の何物も見ようとしなくなる。誰かと熱心に話していると他のことが耳に入らないし、何かを信じすぎていてもそうなのと同じかもしれない。

何かの時間が終わるのを焦れて待つときには、どこかいらいらした緊張も伴う。そういう緊張は、気持ちの柔軟さを失わせ、体を硬くし、受け入れてしかるべき考えや感情や感覚までも押しとどめてしまっているのかもしれない。

逆に、待つことを忘れ、いることに専念できれば、心もしなやかで、感覚が研ぎ澄まされているくるものかもしれない。コンサートが終わることばかり考えているミュージシャンの演奏など誰も聴きたくはないだろう。